水野です。

今回は「技術力」重要性について考察して行こうと思います。


◆技術力とは国家の安全保障の問題

防衛力(軍事力)について考察した記事でもお伝えしたことですが、
技術力というのは、その技術力を担保する「需要」が無ければ
維持することが出来ません。

公共投資や防衛費などに政府が支出することは、
国家の安全保障において必要な技術力を
維持・発展させて行く意味でも非常に重要というわけです。


ここで言う「国家の安全保障」とは、
なにも軍事的な意味だけではありません。

日本国民の需要を満たすための供給能力を、
日本人自身が賄うことが出来ることが、
真の意味での日本の安全保障だということです。

例えば、我が国の道路や水道などのインフラ(社会基盤)の多くは
高度成長期に造られたものです。

しかし我が国はここ20年ほどの間、公共投資を削減してきたため、
これらのインフラの多くが老朽化してしまっています。

道路や水道の老朽化自体ももちろん問題ですが、
こうしたインフラの建設や修繕を怠ることは、
技術力の喪失にもなるわけです。


「技術」というのは、基本的には「経験」によって蓄積して行きます。

「経験」から「ノウハウ」が産まれ、
生み出されたノウハウが次世代へ伝承されて行くことで、
国家の技術力が蓄積し、発展して行くわけです。

公共投資や防衛産業への投資を削減することは、
まさに技術力の削減に他なりません。


例えば、災害対策などの公共事業に対してよく言われることとして、

「災害が来なかったら無駄になる」

という意見がありますが、本当にそうでしょうか?

災害対策に必要な建設技術などはどうなるのでしょうか?

絶対に必要な公共事業だけやるよりも、
災害対策などの多様な事業を経験しておいたほうが、
それだけ多くの人材が育ち、多くのノウハウも蓄積して
技術力の発展にも寄与するはずです。

さらに、災害対策を万全にしておけば、
いざという時の安心が得られるわけですから、
その地域には人や投資が集まる可能性もあります。

もちろん、雇用などの需要創出の効果だってあるわけです。


防衛(軍事)面では、2014年に「武器輸出3原則」が改正され、
「防衛装備移転3原則」が制定されましたが、
これは日本の防衛にとっては望ましいことだと思います。

原則として武器や兵器の輸出が可能となり、
兵器の国際共同開発も促進されることになりました。

これらのことは、防衛産業の市場を広げることになりますし、
外国との技術交流も盛んになることで、日本の技術力向上が期待出来ます。

日本が必要な国に武器や技術を提供することは、
国際的な平和維持にも貢献出来るはずです。


私たちが今現在、快適で安全な日本に暮らせるのは、
過去の「投資」の蓄積によるものであり、
つまりは、インフラや技術の蓄積のおかげなのです。

国家にとって大事なのは、まさに「投資」だということです。


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